残っていた小豆で粒あんをつくり、いつも野菜をいただいている妻の知人に半分あげたら、もっとたくさんほしいとリクエストがあった。以前にも一度あげて「絶品」と喜ばれたことがある。
「絶品」といわれるほどの技は持ち合わせていないが、美味しくなる秘密は薪の火で煮上げていることだろう。今回は小豆1キロを使い、薪ストーブを焚き始めるのに合わせ、朝6時前から鍋をかけた。一度沸騰したら煮こぼして、豆が柔らかくなったころ、また煮汁をこぼし水を入れた。浮いてくるアクもこまめにすくう。3時間ほどで豆が煮崩れたので砂糖をまず1キロと塩ひとつまみ投入。甘みが足りないのでさらに200グラム加えた。薪の火はとろ火。ここからが長い。焦げ付かないようにまめにお玉でかき回す。約3時間、正午過ぎにできあがった。鍋いっぱいになり、手で持つとずしりとくる。
早速バニラアイスにのせて食べた。翌日からはクラッカーと一緒に。金時豆の甘煮もつくった。こちらは砂糖を控えめにした。
豆料理を本格的に始めたのはカフェを開いた12年前から。それ以前からひよこ豆のカレーは時々つくっていた。カフェで出すカレーはひよこ豆ともう1種類。カレーに付けるスープはレンズ豆。スイーツは白玉と粒あん、豆の甘煮にアイスを組み合わせた1品とシフォンケーキを用意した。
そのころネットで見つけた北海道の専門店「べにや長谷川商店」から、時々取り寄せていた。このお店にはパンダ豆やビルマ豆、栗いんげんなどスーパーで見かけない豆もたくさんあった。お店オリジナルの豆料理本も購入していろいろ試した。最近、長谷川清美さんが世界の豆探訪記「豆くう人々」を出版されたと知り、読もうかと考えている。
日本で豆料理というと、大豆が中心であとは甘煮やあんこ。近年はひよこ豆が手に入りやすくなったが、まだまだ料理に使われる種類は少ない。水につけて戻す手間が敬遠されるのだろうが、作り慣れると苦にならない。時間がない時は圧力鍋を使う。レンズ豆なら水に戻さずそのまま火にかけ、30分ほどで煮上がる。ひよこ豆と一緒にカレーに使えば、市販のルーを使わずともとろみがつき、味もこくがあっておいしい。
家で肉は食べないので、豆はひんぱんに食卓にのる。新聞の記事で、高齢者もタンパク質が不足しないよう肉、魚をしっかり食べましょうと相変わらずの肉食のススメを読むとうんざりする。豆を忘れていませんか。