2021年11月12日金曜日

時雨と虹


  4日前から始まった荒天は夕方になって、ようやく収まってきた。北陸では11月になると、時雨れる日が多くなる。冬の先触れというと穏やかに聞こえるが、荒れた天候になることが多い。私には天が「長く暗い冬が今年もくるぞ」と断固とした態度でこちらに覚悟を迫ってくるように思える。

 時雨、時雨れるは、その洗礼を受けたことのない人たちには冬の季語として、詩的にひびく。私もそんな気候と無縁な土地に生まれ、育ったので、40年余り前、初めてこの天気に遭遇したときは驚いた。いきなり強い雨が振り出し、まもなく止む。ほっとしたのもつかの間、また雨の襲来。しかし雨雲はすぐに去り、日がさす。ときにアラレになり、師走が近づくとみぞれ模様になる。日本海側とその周辺だけに見られる天候だ。

 朝の散歩を習慣にしているが、強い雨と風に怯んで二の足を踏む。晴れ間は期待できないので、小康状態を見計らって出る。しかし、雨がやんでいる時間は30分と続かないから、途中で降られる。上下雨具でないとひどい目に遭う。

 しかし、悪いことばかりではない。時雨れると、虹が出ることが多いからだ。関東だと雷と虹は、夏の夕立を思い出させるが、北陸では雷も虹も初冬の風物詩になる。


 上の写真は10月下旬に自宅2階から撮ったもの。きょうもほんの数十秒、虹のかけらが見えた。

 雲と雨と光と風が目まぐるしく織り成す気象現象。その中を突き進めば、《非情な自然》に触れて、すこし心が晴れ晴れとする。

0 件のコメント:

コメントを投稿

新しい庭

 15年住んだ石川県かほく市から、群馬県安中市の生家跡に建てた新居に引っ越してまもなく3週間になる。古希を目前に、まさに終の棲家。  築百年以上経つ蔵を改装して、ギャラリーと休憩  ・談話スペースにする予定。蔵と母屋の間は井戸水を循環させた池を設け、鳥や昆...