2021年9月14日火曜日

センダイムシクイ

 お盆を過ぎた8月、滞在していた長野県原村での朝、八ヶ岳自然文化園の前を散歩していると、明るいさえずりが聞こえた。どこかで聴いた記憶があるがどこだったか。そうだ録音してみようと、スマホを取り出したはいいが、初めてのことなので手順がわからない。やっとアプリを見つけスタートしたときは、鳴きやむ直前だった。再生してみると、ツーツーピィノピィーとほんの一節だけ。ペンションの女性オーナーに聴いてもらったが、「わたし鳥は詳しくないの」でわからず仕舞いになった。

 なんとか突き止めたい。養老先生がテレビの中で「アヤメですかショウブですか」と和菓子店の主人に尋ねるシーンがあった。「名前がわからないと落ち着かないから」と話していた。深く同感した。散歩で見かけた草木の名前がわからなかったり、忘れて思い出せないと、ちょっとスッキリしない。そんな性分から草花の名前を覚えてきた。

 帰宅してから、昔買った「日本野鳥大鑑」を取り出した。この本には420種の鳴き声を収めたCD6枚が付いている。それらしき鳥のさえずりの入っているCDを少しずつ聞き始めた。3日目だったか、朝食のとき2枚目を聴いていると、向かいの妻が「これじゃない?」。確かによく似ている。何度か聴き直し、確信した。https://youtu.be/Z-bGfIuJWUI?t=5


 センダイムシクイの鳴き声が初めて耳に残ったのは、もう20年ほど前、新潟県十日町で山菜採りに参加したときだ。「焼酎一杯グイー」の聞きなしに近かった。新緑の里山を謳歌するかのような気持ちのいいさえずりだった。

 それにしてもCDで調べる前に、アプリの鳴き声図鑑やネットでもセンダイムシクイの声を聴いていたはずなのに、なぜ気づかなかったのだろう。鳥だって、個体や条件によってさえずりは微妙に違うということ。そこに思いが及ばなかったとは、まだまだ人間ができていないのだ。

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