コンポスターをネットで購入して、堆肥づくりを始めた。容器を買わなくても、段ボール箱を使って堆肥を作る方法が主に自治体のサイトでたくさん紹介されているが、写真のような不織布製の筒型の容器が使いやすそうで、使い捨てでもないので試してみることにした。
くん炭、ピートモス、米ぬかを基材にして2月21日から野菜くずやコーヒーかすなどの投入開始。5日目には挿しておいた温度計は56度まで上がり、かき回すと湯気が上がった。暖かな室内に置いたので分解が促進されたようだ。堆肥ができるまで2,3か月かかると書かれているサイトが多かったが、3月24日に投入をやめた。野菜くずはほぼ分解され、温度も上がらなくなっていた。容器から中身を育苗に使っていたプラの衣装箱に空け、赤玉土と庭土を少し入れて混ぜて蓋をして庭に置いた。水をときどき加えながらひと月ほど様子を見て、野菜づくりに使う予定だ。
野菜づくりを始めて30年以上になる。転勤のたびに市民農園を借りるというノマドファーマーの期間が長く、1か所に腰を落ち着けて栽培を続けることが困難だった。そんなこともあり、無農薬、有機栽培が理想だったが、現実はホームセンターで買ってきた堆肥や化成肥料を適当に施す安直な野菜づくりだった。
時々読んでいた雑誌「スペクテイター」のバックナンバーの中に「土のがっこう」と題した特集があるのを知り、取り寄せた。この中に堆肥・育土研究所を主宰する橋本力男氏の「堆肥づくりは感性の扉」の記事があり、大いに啓発された。図書館から著書の「畑でおいしい水をつくる」も借りてきた。そこで分かったのは、普通に売っている堆肥と、橋本氏が指導する適切に管理・発酵された堆肥はまったく違うものだということだ。橋本氏によれば、微生物によって引き起こされる発酵は「生物燃焼」であり、堆肥づくりは高温で燃焼させる技術なのだ。
思い出したのは、小麦酵母を使ったパン作りのことだ。パン作りに使う自家製天然酵母は、普段は冷蔵庫に保管している。作り始める2,3日前に冷蔵庫から出す。ライ麦と水を足し、砂糖か蜂蜜を少し加えてかき回す。一晩たつと、酵母の表面に細かな穴が空きぷくぷくと再発酵を始め、活性化したのがわかる。コンポスターの温度が上がらなくなってから米ぬかを足すと、翌日には温度が急上昇していることがあった。微生物による発酵の力を目の当たりした。パンと土作りに引き続き励んでみたい。


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