2021年10月5日火曜日

天然酵母パンは酸っぱい


 今朝、4時半過ぎに起きてパンを焼いた。早起きしたわけではなく、このところ起床は4時から5時にかけて。老いとともに早寝早起きになる。

 きのうの朝6時に小麦粉と水を混ぜ始めてから焼き上がりまで23時間かかったことになる。前夜のうちに生地がほどよく膨らみ、焼くことが多いが、天然酵母はイーストに比べ、酵母の数が圧倒的に少ないから時間がかかる。発酵状態は、その日の酵母の状態、気温まかせで、温度管理など人為的な手は加えないので、なるようにしかならない。味も形も作るごとに微妙に違う。まったく同じパンにはならないところが、生きた酵母種を使ったパンづくりの醍醐味だと思う。ファストフードの対極。食はスローフードにあり。

 しかし、作業に要する時間は焼成を含めてトータルで1時間半もかからない。待つ時間が圧倒的に長い。だから、仕事のある人でも決して無理ではない。


 酵母は小麦とライ麦から起こしたものとレーズン種を使っている。麦の酵母種は5月につくったものを、使った後に補充する形で粉と水、ハチミツを継ぎ足して使っている。最初はハチミツは加えなかったが、酸味の強いパンになったので、私のフランス語の先生Mさんのアドバイスもあって使うようになった。レーズン種も最初は干しぶどうと水だけで作っていた。ところが、志賀勝栄さんの「パンの世界」を読み直していると、「ボウルにぬるま湯を用意し、砂糖とモルトエキスを溶かし、レーズンを加えて混ぜる」と書いてあるではないか。

 同書によればフランスにはパンに関する政令があり、その中で「伝統的なパン」についても定義されている。天然酵母についての規定もある。天然酵母パン(パン・オ・ルヴァン)と名乗れるのはルヴァン種のPHが4.3以内、パンの酢酸含有量が900ppm以上のものだけ。「これほど酸味があると、日本人には酸っぱすぎると感じられるかもしれません」とあった。

 天然酵母パンは基本は酸っぱいのだ。5月につくったパンに強いサワー感があったのは失敗ではなかったと知り、安心した。ハチミツや砂糖を加えるようになって、酸味は和らいできた。

 自家製酵母でパンを焼くようになって、わかったことはいくつもある。その1つは、日本で作られるほとんどのパン、とりわけ軟らかくて甘いパンは、フランスのパンとはまったく異なる食べ物だということ。バゲットやカンパーニュとして売られていても、そうなのだ。

 


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