3年ぶりだろうか、キムチを漬けた。いただきものの白菜1株をとりあえず塩漬けしたあと、食品庫をみると以前使った唐辛子が残っていた。粗挽きと粉末の2種類。いつも漬けるときは必ず使ったアミの塩辛はないが、桜えびと濃く煮出した煮干し汁を使えばいい。唐辛子の袋に記された賞味期限はとうに過ぎているが、問題はない。ダイコンと人参を千切りして塩でもみ、すり下ろしたリンゴとニンニクや白胡麻、ニラなどで薬味(ヤンニョム)をつくれば、それなりの本格キムチになる。
初めてキムチ作りに挑戦したのは40代のころだから、もう20年以上前だ。そのころは会社が東京だったので、東上野のコリアンタウンでキムチ用の材料を調達した。たしかコイワシの塩辛も売られていたので、買って帰った。本場の材料を揃えると、いい値段になる。
自家製キムチを作るようになってわかったのは、日本で食べられるキムチと本場のものがまるで違うということ。日本製キムチは乳酸発酵していないものがほとんど。つまり酸味もうまみもない。砂糖をけっこう入れているものが多く、甘い。いってみればキムチもどきの食品なのだ。昔、中学校の同窓会に出たとき、絶品キムチだと薦められ、作っている農家まで買いに行ったことがあるが、甘すぎて食べられなかった。
最初に作り方のお手本にしたのは、自然食通信編集部編「手づくりのすすめ」という本。奥付をみると1995年6月の第9刷になっている。先日、書店をのぞいたら、この本が増補改訂版として料理書の新刊コーナーに並んでいるではないか。うれしかった。同書には酒まんじゅうから始まって味噌、豆腐、梅干し、カマボコ、ハム・ベーコンまで計23種類の食品の作り方が紹介されている。キムチについては、できの良し悪しを左右する第1点として「塩漬け」を挙げている。たしかに茎の部分がしんなりしたタイミングで漬けるのがいいのだが、意外と難しい。
数年前からは画家の渡辺隆次さんの「山のごちそう」(ちくま文庫)も参考にした。改めて両方の本を調べると、今回を含め私が作るキムチは唐辛子の量がかなり多いことがわかった。1週間ほどおいて食べ始めてみるが、どんな味になっているか楽しみだ。
ちなみに白菜漬けは土井善晴流で漬けている。これで作ると、食べ進めているうちに乳酸発酵も進み、昔ながらの白菜漬けが楽しめる。5年ほど前までは11月の終わりになると、たくあん漬けの仕込みも欠かさなかった。市販のものは甘いうえに、ちゃんと干した大根をつかっていないのでパリパリとした食感もない。漬物に限らないが、手づくりに勝る食品はない。
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